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佐々木修コラム
SASAKI COLUMN
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PEN 2025/08/05(Tue)

機能性表示食品制度が見直されました

こんにちは。月刊『ヘルスケア・レストラン』元編集長でフリーの栄養編集者の佐々木です。

 昨年9月1日、そして今年4月1日と2回に分けて機能性表示食品制度が改正されたことをご存知でしょうか? と、その前に機能表示食品制度について簡単に説明しますね。
 巷に広く健康食品という言葉が氾濫していますが、食品衛生法上、健康食品という言葉は定義されていません。これらについて厚生労働省は「いわゆる『健康食品』」としているのですが、その中で国によって「保健機能食品」として制度化されているものが「機能性表示食品」「栄養機能食品」「特定保健用食品」の3つです。
まず、特定保健用食品は、「特別の用途」の1つである「特定の保健の用途」に適合する旨の表示をすることについて、消費者庁長官の許可等を受けた食品です。
機能性表示食品は、企業等の責任で、健康の維持及び増進に資する特定の保健の目的が期待できる旨の表示をすることができる食品となります。特定保健用食品とは異なり、国が個別に審査を行うものではなく、販売前に企業等が届出を行い、安全性及び機能性の根拠に関する情報を開示することとなっています。
一方、栄養機能食品は、身体の健全な成長、発達、健康の維持に必要な栄養成分(ミネラル、ビタミン等)の補給を目的として、栄養成分の機能の表示をする食品です。栄養機能食品として食品を販売するには、食品表示基準に適合する必要があり、同基準に適合すれば許可申請や届出の必要はなく、製造・販売することができます。
 そのため、数多くの「機能性表示食品」が市販されることになりました。

 この機能性表示食品制度が見直されるきっかけとなったのは、小林製薬株式会社の紅麹サプリメントによる健康被害の発生でした。同社は2024年1月15日に同社製品による入院等の健康被害発生の報告を受けていたにもかかわらず、同年3月22日に記者会見を開催。関連3製品を自主回収することを発表しました。その後、同社製品による死亡報告もあり、あまりにも遅いその対応が批判されることになりました。
 さらに届出の際に用いたシステマティックレビューに「(機能性が)報告された」と記してあったにもかかわらず、「悪玉コレステロール値を下げる」など、断言された表示が問題となりました。

 こうした事態を受けて消費者庁は、機能性表示食品制度の見直しに着手。昨年9月1日に、①健康被害情報のスムーズな収集体制の構築、②天然抽出物等を原料とする錠剤やカプセル等に対するGMP規準(医薬品の製造管理及び品質管理の基準)の適応、③届け出情報における表示情報の見直し、以上の3点の改定案を施行。さらに今年4月1日には、新規成分にかかわる届出者の評価を慎重に検討するため、評価期間を60営業日から120営業日にするとしました(表1)。
 つまり、昨年の健康被害事件を受けて、機能性表示食品の届出がより厳格化されたと言えるでしょう。

 管理栄養士の皆さんは、こうした食品の安全に関する制度をしっかりと把握し、栄養食事指導の際、患者さんに対して適切な情報提供に努めていけるといいですね。株式会社フーヅリンクとしても安全な食を提供する企業として、当然ながら食の安全にかかわる制度についてしっかりと学び、管理栄養士の皆さんへ適切な情報提供に努めていきます。

消費者庁「機能性表示食品制度に関する説明会」2025年3月資料より
https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/foods_with_function_claims/movie_005/assets/food_labeling_cms205_250411_02.pdf

天然抽出物等を原料とする錠剤やカプセル等に対する機能性表示食品は今後、GMP規準(医薬品の製造管理及び品質管理の基準)が適応されます
※写真はイメージです AdobeStock_481661947


佐々木修氏

佐々木修/プロフィール

月刊『ヘルスケア・レストラン』の元編集長であり、現在はフリーの栄養編集者として活動しています。
栄養管理に関する情報を発信するトークライブなども行っており、専門的な知識を活かして多方面で活躍中です。