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管理栄養士向け「完調品」や高機能栄養剤などの特性を理解し、社会保障制度を維持して超高齢社会を乗り切る
こんにちは。月刊『ヘルスケア・レストラン』の元編集長でフリーの栄養編集者の佐々木修です。
2026年3月10日(火)、私が司会を務めるオンラインのトークイベント、「クックパック®︎トークライブ」第6弾が開催されました。今回は、吉田貞夫先生(ちゅうざん病院副院長)と(株)フーヅリンク代表取締役の山下純弘氏を講師にお招きしました。
今年の2月13日(金)、中央社会保険医療協議会(中医協)は令和8年度診療報酬改定における個別改定項目の点数を公布しました。これを受けて今回は栄養関連の改定項目について話し合いました。
吉田先生は今回の改定のポイントとして、嚥下調整食に特別食加算がついたこと、退院後訪問栄養食事指導料(1カ月に4回まで算定可能、1回につき530点)が新設されたことを挙げました。
前者について吉田先生は「これまで多くの病院が大変な手間をかけて提供してきた嚥下調整食に加算がついたことは非常に喜ばしい」と評価。その上で算定に当たっては、日本摂食嚥下リハビリテーション学会嚥下調整食分類2021(学会分類2021)の定めた物性に準拠していることと、「おいしく安全な食形態で適切な栄養量を有する嚥下調整食を新たに評価する」点を課題として提示しました。
これについて山下氏は、「当社が提供している完全調理済み食品クックパック®︎の嚥下調整食は学会分類2021の物性基準に準拠しています。また、加水や加熱による食材への影響をできるだけ抑えているため、一般的な嚥下調整食よりも栄養価が高く、食材本来の味と色味を損なわない製品となっています」と解説しました。
次に退院後訪問栄養食事指導料の新設について「国が地域包括支援システムの構築を推進する中で管理栄養士の活躍の場を広げる大切な制度であり、これも喜ばしいこと。しかし、現実はいずれの病院もマンパワー不足に苦慮している状態であり、在宅医療支援病院が地域の管理栄養士と連携するなど、マンパワー不足をカバーする工夫が必要となるでしょう」と提起しました。
これについて山下氏は、「いずれの病院の栄養部門も調理スタッフのマンパワー不足が最大の課題であり、これを打開するためには完全調理済み食品の導入が有効な手段となります。例えば、手間がかかる特別食のみ完全調理済み食品を導入し、常食は今まで通りの業務にすれば、厨房システムを大きく変えることなくスムーズにマンパワー不足を低減できます。シルバー向けの商品とは一線を画すメディカル向けの専用工場にて、来春より提供予定です。また、管理栄養士の先生が膨大なアイテムから差し替えることも可能になるポータルサイト『Eravie』の運用も開始します」と説明しました。
最後に吉田先生は、「超高齢社会の真っ只中の今、高齢者の生活や病態が多様化し、医療・介護のニーズも今までないほど多様化しています。そうした多様化するニーズに応えていくため、例えば栄養剤に含まれるシンバイオティクスなど、製品の特性を理解し、上手に使い分けることによって、下痢や高血糖などの合併症を防ぎ、医療・介護のコストを低減できる可能性があります。医療や介護コストの低減は、各病院・施設の経営という点からも必要不可欠です。これまで医療・介護用の食品の値上がりを極力抑えてくださっていた企業のみなさんの努力に心から感謝しております。先日、栄養保持を目的とした医薬品の保険給付が打ち切られそうになった際も、関係各位の皆さんが奔走され、条件付きで使用継続が認められたということもありました。これからも私たちの持っているノウハウをフル活用し、医療・介護を受ける患者・利用者が合併症を発症することなく、安心して療養できるよう支援していきましょう」と締めくくりました。

写真上段左から、吉田貞夫先生、山下純弘氏、下段は佐々木修

佐々木修/プロフィール
月刊『ヘルスケア・レストラン』の元編集長であり、現在はフリーの栄養編集者として活動しています。
栄養管理に関する情報を発信するトークライブなども行っており、専門的な知識を活かして多方面で活躍中です。


