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周術期栄養管理

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PEN 2026/01/22(Thu)

病態の変化の激しい心不全患者の栄養管理は 「完調品」による給食業務の効率化あってこそ

こんにちは。月刊『ヘルスケア・レストラン』の元編集長でフリーの栄養編集者の佐々木修です。

 2026年1月14日(水)、私が司会を務めるオンラインのトークイベント、「クックパック®︎トークライブ」第5弾が開催されました。今回、講師にお招きしたのは島田晶子先生(名古屋ハートセンター 管理栄養士)です。

 名古屋ハートセンターは循環器専門医療を提供する64床の医療施設です。近年、心不全患者が急増しており、(公財)日本心臓疾患財団によると2030年には約130万人になると推計されています。「心不全パンデミック」とも言われるこの状況に対し、同センターは重症心不全患者を積極的に受け入れています。

「心不全とは心臓のポンプ機能が低下し、全身の臓器が必要とする血液を十分に送り出せなくなった状態です」と島田先生。その原因は、心筋梗塞や弁膜症、心筋症、不整脈、高血圧と様々であり、それらが複合していく中で病態が重症化していくといいます。多くは、全身の血流がうっ滞していくため下腿浮腫や胸水が生じ、息切れや倦怠感、動悸、そして食欲不振が現出します。

「こうした症状によって、心不全患者さんの多くにADL低下や栄養状態の悪化が認められ、さらに病態が増悪してサルコペニアやフレイルにつながっていく、いわば負のスパイラルに陥ることがあります」(島田先生)
 この負のスパイラルを断ち切るためには、適切な栄養管理を行うことが必須となりますが、浮腫が生じている患者の場合、下腿周囲長や体重が栄養状態の指標とならないことが多く、管理栄養士はベッドサイドで患者のフィジカルアセスメントを行い、浮腫の状態を日々モニタリングすることが必要となるといいます。

「当センターの場合、64床と小規模であるため、クックサーブ式の給食業務を外部委託しても問題なく提供できていますが、病床数の多い総合急性期病院であれば、その方法での提供は難しいかもしれません」と島田先生。献立のベースを完全調理済み食品として給食業務を効率化し、必要に応じて少量高エネルギーの栄養補助食品で調整することが求められるようになると強調します。

「先述しましたが、心不全患者さんの原因は様々であり、病態は個々で異なります。治療方針も同様、患者さん一人ひとり変わっていきます。栄養管理もまさに患者さん個々人に合わせたオーダーメイドとなるため、毎日ベッドサイドで病態の変化に合わせて栄養管理計画を調整していくことが不可欠となります。この取り組みを完遂していくためには、完全調理済み食品の導入によって給食業務を効率化し、管理栄養士が病棟に常駐できる体制を構築することが火急の課題と言えるでしょう」


佐々木修氏

佐々木修/プロフィール

月刊『ヘルスケア・レストラン』の元編集長であり、現在はフリーの栄養編集者として活動しています。
栄養管理に関する情報を発信するトークライブなども行っており、専門的な知識を活かして多方面で活躍中です。